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「家族国家」日本の姿を取り戻そう

筑波大学名誉教授
「人づくり、家庭づくり、国づくり」国民運動推進委員会委員長 鈴木博雄

 はじめに、東日本大震災により、お亡くなりにな られた方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、 被害を受けられた皆さま、そのご家族に、心からお見舞いを申し上げます。

 被災された方々は今なお、先の見えない避難所生活を強いられていますが、このような状況でも被災者の人たちは皆、冷静沈着で整然としており、避難所でも被災者同士が協力し合う姿は海外でも報道され高く評価されています。

 戦後最大の国家的危機と言われる今回の大震災ですが、戦後の日本の復興を振り返ってみても、当時、国民の生活が悲惨なものとならず、社会が大混乱にならなかったのは、家庭が崩壊しなかったからであったと言う事ができます。戦争中に家庭の大切さというものをしっかりと教え込まれた人たちが中心となって、その家庭が日本社会を支え、戦後の復興がなされました。

 私たち日本は長い伝統の中で、目上の人を尊敬し、祖父母、父母、子供、孫といった三世代、四世代が同じ屋根の下で暮らしてきました。個人中心の傾向の強い欧米社会とは違い、個人を包含した家族を基礎とした「家族国家」が日本の姿でした。

 ところが、21世紀を迎え、個人の尊重や男女同権が叫ばれる中、女性の自立や社会的進出が実現し、結婚した女性は自己の個性を活かして職業に就いたり、社会的活動に参加するようになりました。これは女性史上、画期的な変化であったのですが、それと共に女性は家庭と職場の両方で二重の責任と負担を負うことになり、職場での負担が重くなるにつれて、職業婦人の家庭での力が弱まることになりました。特に子供と共に過ごす時間が縮小されるようになると、育児や子供の教育の上で困難が生ずるようになったのです。

 そのような社会環境の変化が、現代は子供の引きこもりや社会性の未成熟、家族の別居や離婚、親の育児放棄、高齢者の介護不足や孤独死にも繋がりました。こうした家族問題の深刻化を知った独身女性達は、晩婚や生涯独身の道を選ぶようになり、「家族国家」日本も危機的状況を迎えたのです。

 言うまでもなく、家族はどこの国においても社会の基礎となる単位で、国の未来を担う子供を育てる最初の組織です。戦後、最大の困難に直面した今、まさに、日本国民が見失いかけていた「家族国家」日本の姿を取り戻すために力を合わせてまいりましょう。

(Monthly News Letter「ファミリー・プロミス」より)