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家庭づくりは「感性育て」から

「古典に遊ぶ」代表/平和大使女性フォーラム副会長 豊田 玲子

 私はかつて小中高校に勤め高校では国語を受持っていました。退職後も「古典に遊ぶ」という、古典を原文で楽しむ会を主宰して現在まで続けてきました。そうした経験から、特に言葉の力の大きさや古典文学の魅力について様々なことを感じています。

 言葉の力について、最近考えさせられたことがあります。東日本大震災の被災地での問題発言で、復興担当大臣が松本龍さんから平野達男さんに代わりました。二人とも復興への意気込みに関しておっしゃっている内容はほとんど同じなのですが、その表現の背後にあるものが大きく違うと感じます。

 平野さんは「各市町村の意気込みを大事にしたい」とおっしゃった。一方、松本さんは「知恵を出さない奴は助けない」と。何が違うかというと、平野さんの発言の背後には「実感の世界」が感じられるのに対して、松本さんにはそれがないのです。平野さんは被災した岩手県選出の議員で、被災地を訪れた際の記憶として、「体が震えるような感じが鮮明に残っている」とも発言しています。まさに実感の世界であり、言葉の力だと思います。言葉の力というのは自らの感性に裏づけされているものです。

 「人づくり、家庭づくり、国づくり」国民運動の中で、やはり家庭が一番大事だと思います。私の好きな古典の『かぐや姫』の中でもおじいさん(翁)が、女は嫁に行って幸せになるのが一番だと姫を諭します。姫は自分がこの世の者ではないからと断って、最後は翁と媼(おうな)、そして求婚した帝に対して最高の礼を尽くして月に帰っていくわけですが、そこに描かれている幸福感や、姫自身の凛とした人生観が素晴らしいのです。

 私は古典文学に親しむことが「感性育て」の一端であるとも考えています。古典を通して、人間ってこうだったんだという、困難な状況にあってもひたすら神仏を支えとし、親は子を、子は親を想い、人の世の幸せを求めてきた姿を見ることができるように思うのです。そうやって子供の情感や感性を育ててやることが大事です。いわば、「感性育て」こそ、「家庭づくり」の柱と言えるのではないでしょうか。「人づくり」「国づくり」も同様に、言葉の力をつけて情感を育てることから始まると思います。

 子供たちの成長に有害な情報や薬物の問題は深刻で、そうした影響から子供たちを守ることももちろん大切ですが、その前に親が子供に対して良い情報や書物を選ぶことのできる力を育ててやることはもっと大切だと思うのです。それによって正しい善悪の判断ができ、自ら良い人生を生きようと思えば、そうした有害な環境を子供たち自身が遠ざけていくようになるのではないでしょうか。

(Monthly News Letter「ファミリー・プロミス」より)