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為に生きる心の根っこは家庭にある

鳩ヶ谷ボランティア連絡会会長/平和大使女性フォーラム会長 宗像 和子

   2001年、私はそれまで勤めていた鳩ヶ谷市役所(鳩ヶ谷市は昨年10月に埼玉県川口市に編入合併)を退職してボランティア活動を始めようと決意しました。56 歳の時です。60 歳の定年まで待っていたら体力的にも厳しかったと思いますし、丁度上司だった収入役の退任時期でもあり早期退職を決めました。

 まずは1年かけて整体師の資格を取り、老人複合施設やケアハウスで入所者へのマッサージなどを始めました。特別の理由があって整体を選んだわけではありませんが、夫は腰がとても悪く、30分と立っていられない状態だったので、どうせなら夫の腰痛も何とかしてあげられたら、というくらいの単純な発想からでした。私は役所勤めをしていた頃から、積極的にアイデアを出して業務を改革していくタイプだったのですが、それらはみな、生活する主婦の目線から出てきたものでした。考えてみれば、整体でボランティアを始めたのも、夫の腰痛をなんとかしたいという妻の目線からですね。

 資格を取得してまもなく、ボランティアを志す人を集めて「サクラ会」を結成し、メンバーの専門性を生かして整体マッサージのほかにも、歌の披露や小学校での読み聞かせ活動などを中心に、現在に至るまで約10年続けています。

 それから1997年、ネパールに行ったのを機に、「ネパール支援の会」の活動を通じ、カトマンズ郊外の学校建設や内戦で両親を亡くした子供への「里親基金」を開設して里親の募集や里子への奨学金授与を始めました。ネパールは極貧国である上に、カースト制による差別意識も残っていて、教育を受けられない子供や生まれながらの職業の固定化といった問題がいまだに存在しています。

 ネパール支援の活動を通じて海外の子どもたちと触れ合いながら、一方で日本を見つめてみると、やはり必要なのは国づくりの基本となる「家庭再建」と「教育再建」だと痛感します。昨年の東日本大震災は本当に悲しい出来事でしたが、日本人が家族の絆を見つめ直し、もう一度原点に帰るきっかけになればその犠牲は報われるのではないかと思います。結局、啓発やPRなどの通じた草の根運動を通して人々の意識を地道に変えていくしかありません。リーダー不在と言われる現状ではなおさらです。

 ボランティア活動を10年やってきましたが、やはり活動そのものに喜びを感じなければ続けられません。そして、より大切なことは、そのために家族に犠牲を強いるのではなく、むしろサポートを得られるように努力をすることです。私の夫は結婚した当時は、男が洗濯物を干すのでさえ恥ずかしいと考えていたようですが、今では私が活動で外出している間に洗濯物を取り込み、きちんとたたんでしまってくれていますし、ご飯も炊いてくれるようになりました。それに対し、私も感謝の言葉をきちんと伝えながら夫として立てるところは立てるように努めています。

 社会貢献やボランティア活動の出発点は、家族の中で互いを思いやる視線と行動を延長し、拡大したところにあるものだと思います。

(Monthly News Letter「ファミリー・プロミス」より)