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家族再生運動によせて

放送大学元講師/北東京平和大使協議会副議長 大平 鈴子

 昔は、「学問はないが、立派だ。」と云われた人々がかなりいて、社会のあちこちで活躍していました。その背後には、古きよき文化と伝統が生きており、よい社会人となるように子供たちを育んだ家庭と、それを見守り助けてきた地域の共同体がありました。たった数十年前の事です。

 今は、「学校は出たが、どこか変だ」という不健全な人間と、健全な人間との境目が薄くなってきたようです。疲れきって休日はゴロゴロ寝ている父親、0歳保育に何の抵抗もなく子供を預けて仕事に出る母親、交際下手になり幼く意欲を失った若者…孤立無縁化しているのは老人だけではありません。孤立化を免れる最後の砦であるはずの家庭が崩壊し、社会も国もおかしくなってきました。

 これは云う迄もなく、国の安全保障を米国に預け、家庭を犠牲にして企業戦士を駆り立て、世界でも異例な早さで高度な経済成長を遂げてしまった日本のツケでした。この文化的環境を生きてきた人たちが政治家になり、行政官、経済人、教育者になり、親になって今の指導者不在の日本になってしまいました。家庭崩壊は国を根幹からゆさぶっています。

 東日本大震災を経て、家族と地域の絆を求める意識が、被災地を中心に全国的に湧き出てきた今こそ、「人づくり、家庭づくり、国づくり」を目指した家庭再建運動の輪を広げるべき時です。この運動を支えるために、一つ二つ、思うところを述べてみましょう。

 家族とは、人が孤立せずに生きることを可能にする血統、心情、法的に宿命的な組織です。特に三世代家庭は、誕生から結婚、死に至る人生のあらゆる場面での処し方を教えてくれる、貴重な道場です。本音で生きるしかない身内の集団生活では、自分本位の勝手主義は嫌でも修正されて、互いに距離を取りながら、他のために生きる知恵を学ばされます。このような場は他に見当たりません。夫婦を中心とする一代限りの核家族になった今、人間関係の煩わしさを避けずに、三世代、四世代の直系家族を作ることこそ、心身共に守られ、安定した幸せを得る道と思われます。

 本来、男性はつよく、やさしく、女性も女性原理に従って、つよく、やさしくあったし、今後も当然そうあってほしいものです。敗戦後の日本の青年たちは、兵役による厳しい国防訓練と国家意識を備えた逞しさ、頼もしさを養う場が失われてしまいました。これは家庭にとっても、国にとっても大きな損失です。この損失をカバーするための国家的プロジェクトがあって然るべきではないでしょうか。

 最後に、見えない霊界の先祖たちが、常に私たちの家族一人一人を見守っており、人と自然を創造された神様が、願われている家族再運動の中核におられることを、忘れてはならないでしょう。

(Monthly News Letter「ファミリー・プロミス」より)